こんにちは。ymtetcです。
近年、『宇宙戦艦ヤマト』は、立て続けに「親しい人との別れとその受け止め」(『宇宙戦艦ヤマト2202』『アクエリアス・アルゴリズム』『スターブレイザーズΛ』『宇宙戦艦ヤマト2205』)を描いています。今日はこれを踏まえて、世代の観点から、これからの『ヤマト』について考えてみたいと思います。
〇ヤマト世代が向き合うべき課題
「親しい人の別れとその受け止め」。これは、ヤマト世代と想定される現52~61歳の世代のボリュームゾーンに対応した物語だったと言えます。
ヤマト世代とその親世代の年齢差、あるいはヤマト世代そのものの年齢を考えると、「親しい人との別れとその受け止め」は、これから多くのヤマト世代が問われてくるテーマにならざるを得ないわけです。
〇若者世代よりもヤマト世代
このような物語は、若者世代のボリュームゾーンに対応する物語ではありません。もちろん、親しい人との別れを経験する若者も少なくはないでしょうが、ボリュームゾーンではないのです。
これらの観点から言えば、近年、特に西﨑彰司さんの色が濃くなってからは、若者世代よりもヤマト世代が重視されてきたと言えます。
〇入口がないわけではない
若者世代は相対的に重視されてきていない現在の『ヤマト』ですが、若者にとっての入り口が全くないかと言えば、それは違います。
例えば『2205』では、ヤマト世代(現52~61歳)に近い存在としての山南・バレル・芹沢、ヤマト世代の子どもたち(現22~31歳)に近い存在としての古代たち古参ヤマトクルー、さらにその下の新規世代(現~21歳)に近い存在としての土門たちと、世代的にはバランスのとれた構造でした*1。他作品を見ても、『2202』は別として、『アクエリアス・アルゴリズム』には美雪がおり、『Λ』は『2205』に近い三層構造(カルロス、アレクセイ&アビー、トップネスたち)をとっています。幅広い世代を取り入れ得る土壌は整っていると言えます。
〇『3199』への展望
さて、多くのファンが注目する『3199』ですが、西暦2207年を舞台とするらしい『3199』は、上記の『2205』における三層構造(山南世代、古代世代、土門世代)が引き続き維持されることになります。
福井さんは古代進について「サーシャという家族を得る」ことと「雪との結婚」、そして「”古代くん”に戻す」といったキーワードを挙げていますが、家族・結婚は、ヤマト世代の子どもたち(22~31歳)が現在直面する課題の一つです。
福井さんのいう「古代くん」がどのような有りようを指すのかは定かではありませんが、等身大の「29歳」を描くことができれば、ヤマトファンの世代交代にも、きっと一役買ってくれる作品になるのではないでしょうか。