『スターブレイザーズΛ』第24話と最近の『宇宙戦艦ヤマト』
こんにちは。ymtetcです。
『宇宙戦艦ヤマトNEXT スターブレイザーズΛ』第24話を読みました。
今日はその感想を書いていきます。
〇感想
いよいよ物語が収束していきます。これまで事態を達観してきたセスが、驚いた表情をしている部分が気持ちいいですね。
セス:愛と同じだけ苦しみも生まれる。結局は0に戻る。
マヤ:でも、それでいいんじゃない? 最後に残った0(神)を自分が肯定すればいい。自分を愛し、また誰かを愛したいと思うなら、きっと宇宙は生まれるわ……
さて、最後の回想シーンでマヤが提示した、「愛と同じだけ苦しみは生まれる。でも、それで残ったものを自分が肯定し、自分や誰かを愛し続けるなら、再び美しい世界は生まれる」という命題は、近年の『宇宙戦艦ヤマト』でしばしば見られる思想と同じ方向性を持っています。
近年の『宇宙戦艦ヤマト』は、この世界と人間の一生に、たくさんの苦しみがあることを前提としてきました。
その上で、そんな苦しみとの向き合い方を一つの主題とする傾向にあります。そして結論は必ず、「人生は苦しいことも多いが、それでも誰かを愛することのできる人間性は失ってはならない」。これは近年の『ヤマト』に通底する思想ではないでしょうか。
以前、「誰かを守りたい」と願う人々の物語を「ヤマトらしさ」と表現しました。
この時は『アクエリアス・アルゴリズム』を題材にしましたが、『スターブレイザーズΛ』にも同じことが言えます。第24話で、リンネを除くトップネスたちが自らセイレーネスと戦う選択をしますが、トップネスたちにあるのは「誰かを守りたい」という願いです。そして、彼らを突き動かすものこそ、『2202』が言うところの「愛」。
その意味では、旧作から続く「ヤマトらしさ」を、『Λ』も継承していると言えるでしょう。
また、ここでのポイントは、トップネスたちが戦うのは「人類のため」だと明言されているものの、単に他の利益を守り自己を犠牲にする、自己犠牲の精神としては描かれていない点です。むろん明確にされてはいませんが、トップネスたちを突き動かす動機としては「大切な人を守りたい」「大切な人が守ろうとしたものを守りたい」といった、切実さをもった気持ちが挙げられるでしょう。
その意味で、『Λ』は人類を守ろうとする人々の戦いを描きながらも、ナショナリズム的なアプローチとは異なるとも言えますね。