ymtetcのブログ

偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

【宇宙戦艦ヤマト】波動砲の魅力は破壊のみにあらず

こんにちは。ymtetcです。

今日は旧作・リメイクシリーズを通じた、波動砲の魅力について考えていきます。

〇近作における波動砲

波動砲は一発逆転をもたらす兵器として描かれます。しかしそれは同時に、敵軍や自然環境の大規模な破壊ももたらします。そこでリメイクシリーズは、波動砲大量破壊兵器(『2199』)や”非道徳的であることは分かっているけれど生きるために必要なもの”(『2202』)のメタファーとして描きました。また、『スターブレイザーズΛ』は波動砲を、戦闘に決着をつける最後の仕上げだと位置づけて、主人公にそれを撃たせる、という仕組みを作りました。

波動砲の作劇上の役割

リメイクシリーズが波動砲の負の側面を強調して描いたことにより、ついつい私たちは、波動砲のもたらす「破壊」の是非を基準に、波動砲を解釈するようになってはいないでしょうか。

原作以来、波動砲、特にヤマトの波動砲は、必ずしも敵艦隊を一掃するためだけに使われたものではありません。それだけではなく、波動砲が持つ膨大なエネルギーを利用しなければ乗り越えられない局面を乗り越えるためのキーアイテム、としての側面が度々登場してきます。第一作の太陽フレアを撃った回から、新米による逆噴射、そして『復活篇』の人工太陽への攻撃まで、その威力は様々なピンチを乗り越えるために利用されています。

波動砲の魅力

重要なのは、そこに乗組員のアイデアが介在している点です。ヤマトが通常通りに運用され、主砲・ミサイル・波動砲などで真っ向から戦うだけでは乗り越えられない局面を、乗組員のアイデアで切り抜ける。波動砲は、その過程で利用されるガジェットの一つなのです。

波動砲の負の側面を強調する際には、このことにも目を向けておきたいなと思います。波動砲は作劇上、ヤマトが乗組員の機転でピンチを乗り越える場面を描くための装置の一つだった、と。

『2202』が描いたように、波動砲に負の側面を与えてしまうと、いくら乗組員の機転によって波動砲が使用されピンチから脱したとしても、そこにカタルシスは生まれません(例:第7話)。であれば、場合によっては、波動砲に代わるガジェットを用意する必要があるでしょう。

これを必要とするかどうかは人によって意見が分かれると思いますが、私はヤマトが乗組員のアイデアでピンチを乗り越えていく側面も『ヤマト』の魅力の一つであると考えます。

波動砲が持つ魅力を一つ奪ったのならば、何か他のアイデアで補填があるといいですね。