ymtetcのブログ

偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

【ヤマト2205】「最高傑作」の新乗組員訓練シーン

こんにちは。ymtetcです。

私は『2205』前章・第2話の新乗組員訓練シーンが好きです。リメイクシリーズ(『2199』『2202』『2205』)の中で、もっとも出来のよいシーンだと考えています。今日はこれについて、考えていきます。

この一連の訓練シーンの出来がよいところは、メカ、キャラクターの描写を網羅しながら小ネタも織り交ぜ、それを3分でまとめあげているところです。

〇航空隊による模擬戦闘訓練

まずは航空隊の訓練シーンです。主役は坂本。

ここでは、坂本・坂巻・森雪のキャラクターが描かれます。坂本はハイリスク・ハイリターンな飛行を楽しむタイプで、坂巻はこれに感心しているあたり、どちらかといえば坂本寄りなタイプであることが伺えます。

一方森雪は、実力は認めつつも「死に急ぐタイプね」とバッサリ。実力は買うが高くは評価しない、といった形で、坂本の未熟さと「冷静に判断する艦長」としての森雪が描かれていると言えます。

映像面では、音楽のメロディに合わせて宇宙を駆けるコスモタイガーが美しいですね。坂本がアステロイドを利用してコスモパイソンを足止めするシーンは、音楽のリズムと効果音のリズムがリンクしているため、「音」の気持ちよさも生まれています。

〇空間騎兵隊による降下訓練

次に、土星の衛星タイタンでの訓練です。このあたりから『2202』ネタも入ってきます。

主役は坂本と雷電。『2202』で生まれ、賛否両論があった機動甲冑とコスモタイガーのコラボレーションをオマージュしながら、二人の関係性を描いていきます。『2205』メカが『2202』メカから路線転換しながらも、世界観としての連続性があることを示している場面です。

坂本は変わらずハイリスクな飛行を楽しんでいますが、そのために、坂本機に雷電と共に掴まっていた、もう一人の空間騎兵隊員は振り落とされています。良くも悪くも「坂本の相棒は雷電だけ」を示す場面です。

なお、やりたい放題の二人を山本&永倉両隊長が走らせている場面は、それを面白がって見ている他のクルーも含めて、旧作「ツンパ」のオマージュでもありました。

『2202』で破壊された土星のその後が観られるのも、きめ細やかですよね。

〇総合対艦戦闘訓練

そして対艦戦闘。ここも傑作です。

舞台は『2202』の置き土産であるカラクルム級の残骸。まずはワープアウトの氷を利用して、『2202』ヤマトの「最終決戦仕様」をオマージュします。背景にはカラクルム級の残骸調査にあたっていたアンドロメダ級が見え、ここは総じて『2202』ワールドが広がっていますね。徳川の「ワープ直後に鬼か」とのセリフは、山南&古代コンビが相当な「鬼教官」であることを伺わせます。

そして、ヒュウガからのコスモパイソンの発艦シーン。『2199』以来の「クリアフォーテイクオフ」の復活です。アナライザーズがサポートしているところは、地球防衛軍の人材不足も感じさせます。

また、きめ細やかなのが砲撃訓練シーンで、北野が発射命令でミスをする場面は、旧作オマージュであると同時に、新戦術長としての未熟さも見て取れます。一方、仁科の「またアスカの防壁弾かよ!」からは、森雪率いるアスカが、繰り返しヤマトの攻撃を防いでいることも分かります。やはり森雪艦長は、冷静に問題解決ができる艦長なのでしょうね。

主計科で奮闘する土門も良いと思います。『2199』の魅力の一つに、「クルーの様々な仕事が見える」部分がありました。土門のドラマに位置づけつつ、それを短時間ながらも表現している点が素晴らしいと思います。

〇まとめ

このように、過去作のオマージュ演出の目新しさシリーズを通した世界観のつながり新キャラクターの紹介を、名曲「新コスモタイガー」を用いたフィルムスコアリングで、わずか3分で描いたのが『2205』の訓練シーンです。

これまでも、戦闘シーン単体やキャラクター描写単体では素晴らしい場面が多々ありました。しかし、これほどまでに総合力の高い3分間は、これまでのリメイク・ヤマトにはないのではないでしょうか。

それゆえ、私はこのシーンを「最高傑作」の一つだと考えています。