ymtetcのブログ

偶数日に『宇宙戦艦ヤマト』を考えるブログです。

【これからのヤマト】「地球を救う」に固執しすぎるな

こんにちは。ymtetcです。

昨年末「「宇宙戦艦ヤマト」を主役にしたプロットの重要性」という記事で、「宇宙戦艦ヤマトを主役にしたプロットを開発するべきだ」だと述べました。

では、なぜそもそも『宇宙戦艦ヤマト』では、ヤマトを主役とするプロットが十分に開発されてこなかったのでしょうか。

この点について、以下のようなコメントをいただきました。

嘗て『宇宙戦艦ヤマト3』でいみじくも総統閣下が「ヤマトが出てきた、ということは地球になにか相当の事が起ったのだろう」というセリフを仰っしゃられた記憶が有ります。(うろ覚え、違っていたらすみません)
 結局、ヤマトを伝家の宝刀扱いするのが一番の問題ではないかと。何か地球に一大事が起きなければヤマトをエピローグに向けて動かせない。
 だから切り札であるヤマトに無双させる必要が生じ、御都合主義も必要になる。だから古いプロットから抜け出せない。

(オールドタイマー様)

宇宙戦艦ヤマト』で、ヤマトを主役とするプロットが開発されてこなかったのは、「宇宙戦艦ヤマト」を「伝家の宝刀」扱いしていたからだ、とする指摘です。これはごもっともだと思います。

宇宙戦艦ヤマト』の主題歌に「地球を救う使命を帯びて」とあります。私はこの点に「ヤマトらしさ」があると考え、「人類最後の希望」論を何度か書きました。しかし、発想を転換すれば、これまでの『ヤマト』は「人類最後の希望」であること、すなわち「地球を救う」ことに縛られすぎていたために、十分にプロットを発展させることができなかったのだ、と見ることもできるのです。

従来の『宇宙戦艦ヤマト』は「戦争」や「災害」に対してヤマトが立ち向かう構図から、抜け出すことができませんでした。

そこでオールドタイマー様は、このように提案されています。

『3199』の最初のほうの章でもヤマトを特別扱いしないで、例えば宇宙の驚異を見せたり古代アケーリアス文明遺跡を調査させたりする。
 またせっかく地球連邦となっているのですから外交をこなす姿を描くのも良い。

ヤマトは「人類最後の希望」として温存される存在ではなく、地球連邦の社会のなかで、一定の役割を果たしているのだ、と設定する提案です。

このような、調査や外交を担う役割は、いわば「地球を守る」役割だと言えます。地球や人類の利益を守る存在としての宇宙戦艦ヤマトです。

これからの『ヤマト』にも、「戦争」や「災害」に対して立ち向かう構図は必要かと思います。このご時世であれば、余計にそうでしょう。

それを否定するわけではありません。ただ、「宇宙戦艦ヤマトが地球を救う」ことに縛られすぎると、プロットに必要以上の制約がかかりすぎてしまうのではないでしょうか。

戦時の切り札としての宇宙戦艦ヤマトではなく、地球連邦の一員として、平時の利益を守る役割も担う存在としてのヤマト。そのような描写の上でのドラマを増やしていくことで、あるいは、新しい「ヤマトを主役とするプロット」が生まれるかもしれませんね。