なぜ「ヤマトらしさ」が重要なのか
こんにちは。ymtetcです。
今日は久しぶりに、概論的な話をしたいと思います。テーマは「なぜ『ヤマトらしさ』が重要なのか」です。
なぜ「ヤマトらしさ」を言語化することが重要なのか。
それは、より多くの人が「ヤマトらしい」と感じる『宇宙戦艦ヤマト』を作ることこそ、『宇宙戦艦ヤマト』を次世代に繋いでいくために必要なことだからです。
これはあくまで私の個人的な考えです。
現在の『ヤマト』の観客層は、おおよそ「ヤマト世代」と「非ヤマト世代」の二つに分けることができると思います。前者はかつてのヤマトブームを知る世代、後者は知らない世代です。
前者にも、『さらば』まで、『完結編』まで、あるいは『2199』での再評価派など様々な区分があり、後者にも、親の影響、『復活篇』デビュー組、『2199』デビュー組などの区分がありますが、この区分については今日は置いておきましょう。
大切なのは、観客層の絶対多数を占めるのが「ヤマト世代」であることです。
この世代の支持を獲得することなくして、新作『宇宙戦艦ヤマト』を売れる作品にすることはできない、というのが私の考えです。
しかしながら、「ヤマト世代」の購買力は現在、ピークの前後にあると言えます。
「ヤマト世代」を現在の51~60歳前後の世代(『さらば』の時で8~17歳)だと仮定すれば、子育てが一段落した人も少なからずいるでしょうし、独身で働いてきた人ならばそれなりに貯金もあるかもしれません。裕福な側に注目した考えではありますが、こうした購買力のある層が一定程度おられるのが「ヤマト世代」ではないでしょうか。
とはいえ現在51~60歳ということは、これからの10年で「働き盛り」を過ぎていく世代であるということでもあります。
「ヤマト世代」に頼りきりのコンテンツでは、将来が危ぶまれる状況です。
ゆえに私は、これからの『宇宙戦艦ヤマト』が進むべき一つの道として、「ヤマト世代」が「ヤマトって面白い」と胸を張って言えるようなヤマトを作ることが重要だと考えます。
なぜなら、これからの数年間は、『宇宙戦艦ヤマト』が「ヤマト世代」を当てにして作品を世に問える、最後の機会になるかもしれないからです。
ならば、まずは「ヤマト世代」を納得させつつ、世代を超えて受け入れられるだけの普遍性をもった作品を模索していく必要があるでしょう。「ヤマト世代」を中心に口コミを広げていく作品。それが現在採りうる現実的な道だと考えます。
そして、そのために私が必要だと考えるものこそ「ヤマトらしさ」の言語化です。
「ヤマトらしさ」というと、どこか新作の在り方を縛るもののように感じられますが、私はむしろ逆だと考えます。「ヤマトらしさ」の軸が定まることで、かえって「らしさ」以外の部分について、安心して大胆な挑戦ができるからです。
『マクロス』の「らしさ」は、「可変戦闘機」「歌」「三角関係」の三カ条にまとめられています。裏を返せば、この三カ条を守っていれば『マクロス』たりえるということ。「星間飛行」でお馴染みの『マクロスF』あたりは私の世代でも名が知れていましたから、『マクロス』はある程度観客層の世代交代ができた作品とも言えます。
このように、「ヤマトらしさ」が言語化できれば、それを軸として多様な作風の作品が模索できます。あるいはターゲットとする世代を大胆に動かすこともできるでしょう。
新作『ヤマト』をよりシンプルに、作り手にとってもやりやすい形で作る際の一つの目印として、このシリーズには「らしさ」の言語化が必要だと考えます。
さて、ようやく今回の『ヤマトマガジン』を読むことができた。最終回となった西﨑彰司さんの連載では、興味深いことも語られていましたよね。「ヤマトのこれから」。これも「ヤマトらしさ」と密接に関わっていると思しき言葉です。『2205』後章も待つ2022年に向けては、重要なテーマの一つではないでしょうか。